沖縄で雪が降ったことはある?過去の観測記録と2016年寒波の真相
青い海と照りつける太陽、年中温暖な気候で知られる南国・沖縄。日本屈指のリゾート地として親しまれるこの地で、「雪が降ったことがあるのか」という疑問は、冬の寒波が訪れるたびにSNSやメディアで大きな関心を集めます。南の島に雪が舞う光景は想像しにくいものですが、気象庁の公式観測データを紐解くと、極めて珍しい歴史的瞬間が刻まれています。
結論から言えば、沖縄県内において近代気象観測史上、公式に「雪(みぞれ)」が観測された事例は過去に存在します。とりわけ記憶に新しい2016年の大寒波では、沖縄本島で観測史上初となる降雪が確認され、日本中に衝撃を与えました。本稿では、気象庁の観測記録、当時の現地のリアルな様子、南国で雪が降る気象学的メカニズムまで、徹底的に深掘りして解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:沖縄県内では1977年(久米島)と2016年(名護市・久米島)の過去2回、公式に「みぞれ(気象上は雪)」が観測されている。
- 要点2:気象庁の気象観測基準において「みぞれ」は雪の一種に分類されるため、公式記録上は「降雪あり」となるが、積雪(地面に積もる)の記録は過去0回。
- 要点3:極めて強い寒気が上空約5,000m(マイナス30℃以下)まで南下する稀な気象条件が重なることで、亜熱帯の沖縄でも降雪現象が発生する。
【結論】沖縄で雪が降ったことはある!気象庁が認めた「みぞれ」の観測記録

「沖縄で雪は降るのか」という問いに対する正確な答えは、「降雪(みぞれ)の公式記録はあるが、積雪(地面に雪が積もること)はない」となります。
気象庁の観測基準において、雨と雪が混ざって降る「みぞれ」は、気象台の統計上「雪」として扱われます。この定義に基づくと、明治以降の近代気象観測が始まって以来、沖縄県内で公式に雪が記録されたのは以下の2つの年です。
沖縄の気象台や特別地域気象観測所による公式データでは、1977年2月17日に久米島で、そして2016年1月24日には久米島と沖縄本島の名護市でそれぞれ「みぞれ」が観測されました。南国・沖縄において降雪が確認されたのは、長い観測史の中でもこの2回しかありません。
【1977年・久米島】戦後初!沖縄県内で初めて公式記録された「歴史的初雪」

沖縄県内で最初に近代気象観測上の「初雪」が記録されたのは、1977年(昭和52年)2月17日のことでした。場所は沖縄本島から西へ約100kmに位置する久米島です。
当時、久米島測候所(現・久米島特別地域気象観測所)の職員が、午前0時35分から数分間にわたり、雨の中に氷粒が混じって落ちる「みぞれ」を目視で確認しました。この日の沖縄地方は日本列島をすっぽり覆った猛烈な寒波の影響下にあり、県内各地で記録的な冷え込みを記録。南城市の糸数アメダスでは、沖縄県内の観測史上最低気温となる1.8℃をマークするなど、前代未聞の極寒に見舞われていました。
久米島で記録されたこのみぞれは、戦後の沖縄県内で初めて公認された降雪事例として、気象関係者の間で語り継がれる歴史的記録となりました。
【2016年1月24日】沖縄本島でも観測!列島を凍らせた「世紀の大寒波」と現地の様子

1977年の久米島での初雪から39年後、日本列島を直撃した「平成28年豪雪」の最中、再び沖縄に奇跡のような気象現象が起こります。2016年1月24日、沖縄本島を含む複数地点でみぞれが観測されました。
名護市にある名護特別地域気象観測所では、同日22時40分頃からみぞれが観測され、これが沖縄本島における観測史上初めての降雪記録となりました。さらに同日22時31分頃には、久米島でも39年ぶり2回目のみぞれが観測されています。
当時の沖縄の最低気温は、名護市で3.8℃、那覇市でも6.1℃まで低下。ダウンジャケットやマフラーを何重にも巻き込んだ地元住民が寒さに震え、街中の自動販売機からは温かいホット飲料が次々と売り切れました。SNS上では「ベランダの植物に白い粒がついている」「生まれて初めて沖縄で雪を見た」といった歓喜と驚きのリポートが相次ぎ、日本テレビやNHKをはじめ全国のニュース番組でもトップニュースとして大々的に報じられました。
なぜ南国で雪が?沖縄に雪が降る気象メカニズムと「積雪ゼロ」の理由
年平均気温が23℃を超える亜熱帯海洋性気候の沖縄で、なぜ雪が降ることができたのでしょうか。その背景には、極めて稀な複数の気象条件の合致があります。
通常、雪が地上まで融けずに降るためには、上空約1,500m(850hPa)でマイナス6℃以下、あるいは上空約5,000m(500hPa)でマイナス30℃以下の猛烈な寒気が通過する必要があります。2016年の大寒波では、シベリア高気圧から吐き出された歴史的レベルの寒冷渦(寒気を伴う低気圧)が東シナ海を越えて沖縄上空まで一気に南下しました。
上空で形成された雪の結晶は、地表へ向かって落下する途中で暖かい空気層に触れて溶け始めます。しかし、寒気の威力が凄まじく、かつ大気が乾燥していたため、気化熱によって周囲の熱が奪われ、完全に水滴になりきらない「みぞれ」の状態のまま地上へ到達したのです。
一方で、沖縄を取り囲む海水温は真冬でも20℃前後に保たれています。沿岸部の地表付近の気温が0℃を下回る「氷点下」になることはまずないため、落下したみぞれは地面に触れた瞬間に溶けてしまい、地面に白く積もる「積雪」には至らないというのが気象学的な理由です。
【歴代データ】沖縄の最低気温記録と琉球王国時代の「古文書に残る降雪伝説」
気象観測網が整備される以前の沖縄にも、実は雪にまつわる興味深い記録が存在します。
琉球王国の正史として編纂された歴史書『球陽(きゅうよう)』には、18世紀から19世紀にかけて何度か「降雪」や「結氷(氷が張る)」に関する記述が残されています。特に1774年(乾隆39年)の記録には、本島北部(山原地域)で激しい寒波によって霜が降り、屋根や畑が白くなった旨が記されており、古来から数十〜百年に一度のペースで極端な寒冷化が起きていたことがうかがえます。
近代以降の沖縄県内における主な最低気温の歴代記録は以下の通りです。
【沖縄県内の歴代最低気温記録(主な観測地点)】
・糸数(南城市):1.8℃(1977年2月17日)
・久米島:2.1℃(1963年1月20日)
・名護:3.8℃(2016年1月24日)
・那覇:4.9℃(1918年2月20日)
・宮古島:5.1℃(1963年1月20日)
・石垣島:5.9℃(1963年1月20日)
このように、県内アメダス地点では数年に一度の猛烈な寒波時に5℃前後まで気温が下がる事例が確認されており、厳しい寒気と降水タイミングさえ重なれば、みぞれという形で雪が観測されるポテンシャルを秘めています。
【沖縄 雪 降っ た こと ある】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:沖縄で雪だるまが作れるほど雪が積もったことはありますか?
A1:一度もありません。過去に観測されたのはいずれも空中を舞いながら落ちてすぐに溶ける「みぞれ」であり、気象庁の積雪計に厚みが記録された事例(積雪深1cm以上)は観測史上0回です。
Q2:なぜ「みぞれ」なのに気象庁は「雪」とみなすのですか?
A2:気象観測法および気象庁の分類規程において、みぞれは「雨と雪が混ざって降る降水現象」と定義されており、統計上は降雪(雪の日)としてカウントされる統一基準があるためです。
Q3:今後、沖縄で再び雪が観測される可能性はありますか?
A3:可能性は十分にあります。地球温暖化が進行する中でも、北極上空の偏西風が大きく蛇行する「ブロッキング現象」などが発生すると、一時的に記録的寒波が亜熱帯地域まで吹き荒れるケースがあります。数十年スパンで見れば、再び沖縄でみぞれが舞う瞬間が訪れると考えられています。
まとめ:南国の雪が教えてくれる気象の驚異と今後の備え
「沖縄で雪が降ったことはあるのか」という疑問の背景には、1977年の久米島、そして2016年の名護市・久米島という2つの歴史的観測記録が存在していました。常夏の楽園というイメージが定着している沖縄であっても、地球規模の大気循環と猛烈な寒波の襲来によって、空から白いみぞれが舞い降りることがあります。
普段は冬でも15℃〜20℃前後で過ごしやすい沖縄ですが、数年に一度訪れる強い寒波では、北風が吹き荒れて体感温度が一気に真冬並みまで低下します。観光で冬の沖縄を訪れる際や現地での生活においても、気象庁の寒波警報・注意報に目を配り、適切な防寒準備を整えておくことが大切です。 (出典: 沖縄 雪 降っ た こと ある(Yahoo!ニュース))